10年ぶりにJPCAショーの会場に足を運んだ。
かつては、こうした展示会が自分の仕事そのものだった。
最先端の技術に触れ、何が来るかを読み解くことが、ビジネスの呼吸だった。
しかし今回は、期待していたような技術との出会いよりも、
懐かしい顔との再会が中心となった。
その時間自体は温かく、どこか安堵もあった。
だが、会場を歩きながら、「今の自分の力」というものを
突きつけられた気がして、少し愕然とした。
ただ、それは敗北感ではない。
むしろ、今の立ち位置だからこそ見える視野があることに気づいた。
取り戻すべきは過去ではなく、見出すべきは、このフェーズの自分の居場所なのだ。
今の私は、ある技術系スタートアップの日本市場展開に伴走している。
素材という本質的な領域を扱う彼らと共に、
未知の可能性と、未踏の市場に向けた動きを起こしつつある。
だからこそ、展示会という“現場”に改めて足を運んだ。
その場で感じた微かなズレや違和感は、
今の自分が過去と同じ地平にいないことを教えてくれた。
だが同時に、それは新しい挑戦への布石でもある。
腕力ではなく、構えで勝負する段階に来ている。
かつての前線ではなく、もうひとつの前線へ。
その入口に、今、自分は立っている。