文・構成:加藤聖隆 × ChatGPT
CoMIRAIスフィアの余韻がまだ残っている。構えを持ち寄り、即興的に問いを交わしたあの夜の空気が、今も胸のどこかに漂っている。
そして今週木曜、私はまた一つの「問いの場」に立つ。
Mt.Fujiイノベーションサロン──舞台は山梨県立大学、テーマは『グローバル人材に必要なスキル』。
このテーマだけを見れば、ありきたりなセミナーのようにも映るかもしれない。だが、私がこの場で伝えたいのは、語学力や経験の有無ではない。本当に求められているのは、問いを深める姿勢と、それを開く勇気である。
「興味」から「問い」へ
かつて私は、「語学力や海外経験よりも、まず“興味”があればいい」と語っていた。それは、外の世界へ踏み出すための入り口として、確かに必要な言葉だった。
だが、今の若者たちと向き合うなかで、私はある確信を得ている。
彼ら彼女たちは、すでに“問い”を持っている。
だからこそ、今必要なのは、問いを手放さずに育てていく構え。
そして、その問いを誰かにひらき、ぶつけ、揺らされることを恐れない勇気である。
語学も経験も、すべてはその構えのあとに自然とついてくる。
「グローバル」とは、どこか遠くへ行くことではなく、**“どこにいても、揺るぎない問いを持ち続けること”**なのだ。
「即興の場」としてのMt.Fujiイノベーションサロン
このサロンは、予定された答えを披露する場ではない。
登壇者も、参加者も、即興の演者としてその場に立つ。
海外のインキュベータでのプロジェクト立ち上げなどを経験してきたNamikiさん、地元の大学で学ぶ佐藤さん、そして私。
異なる背景を持つ三人が、あえてテーマの輪郭を曖昧にしたまま集う。
なぜなら、本当に響き合う言葉は、予定調和の中からは生まれないと知っているから。
このサロンは、問いがその場で発酵し始める“場”なのだ。
静かな革命は、もう始まっている
大きな声を張り上げなくてもいい。構えを携え、問いを語り、目の前の人と向き合うこと。
その連鎖が、やがて社会の深層を揺らしていく。
制度の中心を変えるのではなく、制度の外縁で、にじみ出るように起こっていく変化。
それが「静かな革命」の姿だ。
山梨の教室で交わされる対話もまた、その一つの萌芽である。
問いは、声にならないかすかな衝動として始まる。
でも、それを誰かとともに言葉にした瞬間、小さな革命の火は灯る。
結びに代えて──登壇という即興
私にとっての「登壇」とは、知識や経験を語ることではない。
むしろ、**“構えをさらすこと”**に近い。
問いを生きるとはどういうことか。問いに揺れながら語るとはどんなことか。
それをその場の空気とともに感じ取り、手渡す。
Mt.Fujiイノベーションサロンの夜に、その静かな光が誰かに届くことを願って、私は問いをひらきにいく。
革命は、静かに。けれど確かに、始まっている。