慎みという名のエネルギー──KANTO Start-ups Rendezvousの場で

麻布台ヒルズの眺めの先に、あの句が静かに響いていた。

落ち着いて思慮ある人は、
身をつつしみ、ことばをつつしみ、心をつつしむ。
このように彼らは、実によく己をまもっている。
(法句経 第234偈)

スタートアップと支援拠点、そして大手企業やCVCが一堂に会する「KANTO Start-ups Rendezvous」。
かつての私であれば、こうした場でいかに目立ち、存在感を示すかを考えていただろう。
だが今は違う。

「慎むこと」と「黙ること」は違う。
むしろ、深い慎みをもって、どこに力を注ぐかを見極めることこそが、今の私にとっての「動き」なのだ。

出会った一人ひとりの言葉に耳を澄まし、思いを受けとめながら、
その中に「これは繋げたい」「この人とは次がある」と感じたご縁には、
遠慮なく“力”を込めた。

慎みとは、何もしないことではない。
内に激しく外に静かな力を湛えた、そうした美しき行動の姿勢なのだと思う。

この日、私の中にはもうひとつの問いがあった。
「この出会いを、次にどう活かすか」
それは単なる妄想ではなく、呼応し、編みなおす力の営みであり、静かなる創造の源泉でもある。

慎みの中に宿る、前へ進むための“力”──
この両極のバランスをとりながら、私はこの場での振る舞いを選びとっていたのだと思う。

いくつかのご縁は、明らかに芽吹いていた。
その小さな芽を、急がず、けれど確かに手渡していけるように、
この「慎みの力」を、今後も育てていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です