文・構成:K.Kato × ChatGPT
先日、NHKでタモリさんが出演した認知症に関する番組を見た。京都大学の山中伸弥教授も登場し、議論の焦点は「認知症を治す」ことではなく、「ならない、進行を抑える」ことにあった。そのために必要なのは、医薬や外部的な処方だけでなく、人間が本来持っている力をいかに維持するか──免疫や生活リズム、社会的な関わりを含めた「生きる力の総体」である。
その番組を通して、私は一つの要素に行き着いた。好奇心だ。
タモリさんは80歳になっても、相変わらず街を歩き、地形や歴史に目を輝かせながら語り続ける。その姿は「好奇心を失わないことが老いを豊かにする」ことを体現しているように見える。尖っていた若き日の芸風は円熟の知と遊びへと変わり、好奇心が彼の人生を貫く軸であり続けている。
ちょうど昨日手に取った山田悠史氏の『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』も、この気づきを裏づけるものだった。Mobility(からだ)、Mind(こころ)、Medications(くすり)、Multicomplexity(よぼう)、そしてMatters Most to Me(いきがい)。この5つを整えることが、健康寿命を延ばす鍵だという。
私はここに「好奇心」が見事に響き合っていると感じた。
Mobilityは新しい景色を見たいという動機によって支えられ、Mindは学びたい・知りたいという欲求によって刺激される。Matters Most to Meは言うまでもなく、生きる意味そのものを好奇心が与えてくれる。つまり好奇心とは、5つのMをつなぎ、動かすエンジンのようなものなのだ。
だからこそ、私が続けている毎日のトレーニングも、単なる筋力維持や体重管理ではない。好奇心を持ち続けるための準備なのだ。歩き、学び、人と語り、未知を楽しむ──そのために身体を整えている。
「最高の老後」とは、静かに余生を過ごすことではない。むしろ、年齢を重ねるごとに好奇心を深め、世界を再び新鮮に見る目を育てることだ。タモリさんの姿に重ねながら、私は確信する。
好奇心は、老いを恐れから自由へと変える、もっとも確かな力であると。