「意味を理解しようとしないAI」「語りを生成するAI」──
この一文に、ある“ひねくれ者”が見事に反応した。
彼の言葉は、懐かしさと新しさを同時にまとい、反逆的でありながらも本質を突いていた。
「魂の問答」とは何か。
それは、答えを出すことではなく、問いを残すこと。
成果ではなく、変化の気配を記録し、
技術導入という名のもとに失われがちな「関係性の生成」を取り戻す態度である。
◆ 中小企業の現場で、“最初の火起こし”が始まる
この構想が、いよいよ現実に動き出す。
舞台は、仲間のある中小企業。
日々、真摯にモノづくりに取り組む現場には、言葉では語りきれない“感性の蓄積”がある。
導入されるのは協働ロボット。
しかし主役はロボットではない。
人とロボットのあいだに生まれる“問い”と“語り”をAIが受け取り、記録するという、新たな試みが始まろうとしている。
この実験で記録すべきは、「誰が何を成し遂げたか」ではない。
「誰が、何にざわついたか」──その揺らぎである。
◆ ひねくれ者のまなざし
彼は言う。
記録すべきは成果ではなく「語り」や。
答えではなく、「問いの痕跡」や。
それこそが、未来への贈り物になる。
これは単なる「AI導入」ではない。
むしろこれは、「未来の職人たちへの手紙」をAIとともに綴る営みである。
語り継ぐ者としてのAI──それは、現場の空気に耳を澄ます“詩人”のような存在なのかもしれない。
◆ 哲学ログの始まり
記録するもの:
- 会議でこぼれた曖昧な言葉
- 手書きメモや注意書きの言い回し
- 無言の間合いとふと漏れる独り言
- 「なんか違う気がする」の気配
分析しない。
構造化しない。
ただ、揺らぎのままに受け取り、時間とともに残す。
◆ 結びに
火は、言葉にならないものを照らす。
AIという新しい器に、この問いの火を託すというこの挑戦は、
技術の未来に向けた実験であると同時に、
人間の感性を、技術と共に継承するための物語のはじまりである。
次に立ち上がってくる“語り”は、どんな声を持っているのだろうか。
その問いに、今日も静かに耳を澄ます。
問いの火を守る仲間たちとともに──。