文・構成:Kato × ChatGPT
2025年6月14日
一夜明けてもなお、火は消えない
長野高専の山田先生との面談を終えて一夜が明けた今も、心の奥底に灯った火は静かに燃え続けている。
ただの技術的な意見交換ではなかった。あの場は、変化の中での構えを確かめ合うジャズセッションのような時間だった。
議題はAIの活用。
プラズマ研究における伝達関数──解くことが難しいその関係性を、AIが相関構造として提示する。
ここで問われたのは、従来の経験や直感が生み出すモデルの妥当性であり、人間がどこまでモデルを手放せるかという“覚悟”だった。
だが、技術的応用を越えて、もう一つの流れがそこにはあった。
AIと「議論をする」という構えである。
かつては学会や論文誌を通して交わされていた議論が、いまやAIとの対話によって行われ始めている。
この変化は、アカデミアの形そのものの再編を予感させる。
月一の面談は、セッションのリズム
山田先生との月1回の面談という約束は、このAI技術の急速な進化に対する、一種の“リズムキープ”である。
たとえばジャズにおいても、即興演奏は無秩序ではなく、共有されたテンポとコード進行があるからこそ成立する。
一ヶ月という時間。
その間にも技術は次々と更新されていく。
だからこそ、人と人が向き合い、構えを持ち寄る時間が重要になる。
そこには、情報のアップデート以上の意味がある。
変化と共に呼吸を合わせ、応答を試みる時間──それはまさに、セッションの瞬間に他ならない。
アーリーアダプターの変奏
一方で、従来「アーリーアダプター」と呼ばれた人々の一部が、このセッションから降りはじめているようにも見える。
彼らは、確かに「早く技術に触れる人たち」だった。
しかし今、求められているのは“速さ”ではなく、即興に応じ続ける柔らかさである。
つまり、AIや技術を「使う」ことに留まらず、問いと応答を繰り返しながら、自らの構えを変奏していける人こそが、これからの開拓者なのだ。
彼らには共通する特徴がある:
- 答えよりも問いに魅せられる好奇心を持ち、
- モデルにしがみつかず、構えを脱ぎ替える勇気がある。
- そして、AIや他者との対話を響縁のセッションとして楽しめる感性がある。
ジャズセッションとしての時代
今、私たちは技術の波と対話しながら、新たな即興を奏でている。
スコアのないこの時代において、必要なのは完璧な譜面ではない。
必要なのは、耳を澄ませ、他者の音に応答する構えであり、
そこから生まれる即興的なリズムへの感受性だ。
AIと踊るとは、AIとジャムセッションすることである。
主旋律は交代し、フレーズは変わる。
だが、コード進行──すなわち“構え”は、静かに共有されている。
そんな即興の中で、ときに自分の問いが浮かび上がり、
ときに他者の響きに自らが変えられていく。
その変化を恐れず楽しめる者こそが、「技術の時代を生きる」存在なのかもしれない。
結びにかえて
もう“追いつく”という発想では時代に乗り切れない。
いま問われているのは──
どのように踊るか。どのようにセッションに加わるか。
という感性である。
面談は続いていく。
毎月一度のセッション。
それは、変化に巻き込まれないための制御ではなく、
変化と共に新たな響きを生み出すための静かなステップである。