私はもう、プレイヤーではない。
かつては私も、波の中にいた。
嵐に怯え、舵を握り、夜明けを信じて進んでいた。
だが今、私はその航海を終え、船を降りた。
そして、岸からあなたの船を見ている。
この時代の海が、どれほど不穏かも知っている。
だからこそ言える。
あなたが今、どうしても動かなければならないことを。
この海は、もはや穏やかではない。
過去の地図はもう役に立たない。
見えている岸は、やがて蜃気楼になる。
私はもう、舵を握らない。
だが、だからこそ見えることがある。
それは、あなたの「ためらい」が招く沈黙の連鎖。
その遅れが、社員の未来を奪い、
地域を沈ませ、
国の力を奪っていくことを。
私は怒っているわけではない。
ただ、悲しいのだ。
これほどまでに、
変わる理由も、変わらなければならない現実も、
目の前にあるのに、
動こうとしない者があまりに多いことに。
だから言う。
もう、待つ時間はない。
もう、「様子を見る」時代は終わった。
あなたが船長なら、舵を切れ。
その手にしかできない決断がある。
それをしなかったということの意味を、
いずれ背負うのは、あなた自身だ。
私は船を降りた者として、
ただ静かに、その背中を見ている。
祈りではなく、期待ではなく、
覚悟の行方を見届けるために。