──イノキャンで見つけた、自らの島の輪郭
文・構成:K.Kato x ChatGPT
イノキャン3日目、予選の会場で、今年も審査員として起業家たちの挑戦に立ち会った。
彼らのプレゼンは、ただの事業紹介ではない。
それは、彼らが自分の信じるものを言葉にし、形にしようとする瞬間であり、
そこに立ち会うことは、こちらの感覚も同時に試される時間だ。
年齢を重ね、経験を重ねるほど、人は鈍くなりやすい。
過去の成功に寄りかかれば、評価は「知識」で済ませることができる。
しかし、予選という場に座るたび、私は思い知らされる。
自分は本当に、この人の挑戦に敬意を払えているか?
初めて聞くプレゼンに、ちゃんと心が動いているか?
審査する者である前に、ひとりの人間として、ちゃんと響いているか。
そんな問いを抱えたまま迎えた今朝、法句経第25偈と出会った。
思慮ある人は、奮い立ち、努めはげみ、自制・克己によって、
激流もおし流すことのできない島をつくれ。
ここで言う島は、外界に築く拠り所ではなく、
流れに呑まれないための内なる足場なのだと思う。
かつて私は、会社を起こし、売却した。
だがその経験を通して得たのは、会社という形ではなく、
「どんな激流の中でも立ち返れる、自分なりの生き方」だった。
島は、事業そのものではなかった。
島とは、あの時の情熱、叱咤、孤独、歓喜、
それらすべてを通して得た、私の中の静かな重心だったのだ。
今、予選を通過した起業家たちは、
その島の輪郭を見つけかけているのかもしれない。
今日、彼らは本選という舞台に立ち、
もう一度、全力で言葉を紡ぎ、世界に問いを投げかける。
私は今日もその場に立ち会い、
彼らが築こうとする島の姿を、全身で受け止めたいと思う。
イノキャンという場は、私にとっても島を確かめる場である。
起業家たちのまっすぐな眼差しに、自分の感覚が鈍っていないかを試される場。
そして、再び自分の内なる島に立ち返り、
次の世代へと島を開いていく決意を新たにする場だ。
ありがとう、イノキャン。
ありがとう、この島をともに探し続ける起業家たち。
あなたたちのおかげで、私はもう一度、島の輪郭を思い出した。
そして今日、この最終日の本選で、きっとまた新しい気づきを受け取るだろう。
それを胸に、私自身の島もさらに深めていきたい。