文・構成:K.Kato x ChatGPT
この秋、私はひとつの報告メールを送った。
ここ数年取り組んできた地域連携やスタートアップ支援の活動を、
かつてのメンター──サンフランシスコで多くを学んだ人──に伝えたかったのだ。
山梨、長野、沖縄。
いま私が時間を過ごしている場所は、どれも「人の営みの根」を感じられる土地だ。
エネルギーとヘルスケアという二つのテーマを軸に、
地域の人々とともに、新しい経済の循環をつくる試みを続けている。
その活動の一端を簡潔に報告しただけのつもりだった。
だが、数日後に届いた返信を読みながら、私は胸の奥で何かが再び動き出すのを感じた。
“We just missed each other. I was in Japan from September 8th to 28th…”
彼はこの秋、日本を旅していたという。
東京、名古屋、大阪、尾道、そして福島・浪江。
まるで、失われた産業の跡地と新しい息吹の地図を、
自らの足で確かめているかのようだった。
そして彼はこう綴っていた。
“The energy sector and the health care sector are the most important in our lives.”
それはまさに、私がいま取り組んでいるテーマそのものだった。
技術や市場の話を超えて、
「どうすれば人がより良く生きられるか」という問いを、
互いの人生の延長線上で見つめ直す言葉。
返信のやり取りの中で、半導体や基板技術の話にも及んだ。
日本が再び巨大プロジェクトに挑もうとしている現状、
そしてそれを支える“現場の知”をどう継承していくか。
彼の言葉には、時代を俯瞰する静かな洞察があった。
“Japan needs to focus on the specific technology and market; otherwise, you run out of resources quickly.”
そこには警鐘とともに、エールも込められていた。
「焦点を定めよ。自分の強みを知れ。」──
それは、技術者でも経営者でもなく、
人生の次の章に立つ者へのメッセージのように響いた。
メールの最後には、短い一文が添えられていた。
“Let’s make sure that we get together next time in December.”
たったそれだけの約束が、こんなにも心を温めるとは思わなかった。
あの頃と同じように、再び風が吹き始めた気がした。
私はその風の音に耳を澄ませている。
再び交わる縁の先に、どんな未来が待っているのかを確かめるために。